~第一章~

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『次はまたチーム分けてやろうよ!』 たっぷり水分を補給し、蝉の観戦とヤジを聞きながら第二試合がはじまった。 所々白い糸で縫い合わされたグローブと、皆が思い思いに被る色褪せたお気に入りのキャップ。 バッターボックスで一本足の小さな『王選手』が打つ気マンマンにこちらを睨んでいた‥ 昼からはじまり、二試合が終わる頃には校舎は夕陽に赤く染まる… 『そろそろ帰ろうぜぇ~』 その声に促されるように、校庭を後に… 『あっ!みんな先に行ってて、オレ上履き持って帰るの忘れたから、取ってかえる』 『わかった!じゃあな~勇太!また来週!忘れんなよ~』 校門を出る友達を見送り、一人校舎に向かう勇太。 朝礼台の横をすぎ階段を数段小走りで上がると、半分開けられたガラス扉をすぎ校舎に入る。 五年生の下駄箱に置かれたままの上靴を、二本の指で持ち上げ… 『そうだ、花…枯れてないかな』 向日葵(ヒマワリ)。 クラスに置かれた向日葵が気になる。 『ちょっと見るだけ…』 静かに上靴を履き教室へ向かった
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