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服のまま海に入ったかのようにずぶ濡れになりながら家に戻ると、家の中から声が聞こえる。
『はい!すいません。じゃあ探してみます。…わかりました。でわ。』
砂かみの扉をあけ中に入ると、驚いたような父親と目が合う。
『父ちゃん…』
父親の顔をみた瞬間、再び熱いものが込み上げる。
『勇太!おまえこんな時間…
幼稚園の頃、鉄棒から落ちた時の様に声をあげて泣きじゃくった…
『父ちゃん…なんで…なんで恭介は…』
分厚い両手が濡れた体を包みこみ、しばらくそのまま玄関に父親と二人でたちつくす。
『風呂はいれ…勇太。風邪ひいちまうぞ』
その日、父親はそれ以上何も言わなかった。
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