~第二章~

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風呂にはいり、二階へ上がると左右に別れた部屋が一つずつ、右側の襖をあけると部屋の窓からは、先程の雨が嘘のように、丸い月が暗い部屋を照らしていた。 月明かりをたよりに、押し入れにある布団を部屋の隅に敷くと、倒れるように体をあずける。 『恭介はなぜ、去年の運動会の後、龍ケ岬なんかに一人で行ったんだろう。』 龍ケ岬… 一年に一度は地方から来た思い悩んだ人間が、そこから身をなげ命を絶つ場所。 崖の上から下を見れば波しぶきが岩にぶつかり、思わず吸い込まれそうになる。 地元の者は誰も近づかないこの場所に、なぜ恭介は一人で…
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