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食事を終えテレビを見ていると、黒電話が鳴る。
『はい!あぁ恭介くんの…いえ、家には来てませんが?わかりました、ちょっちょっと待って下さい!勇太!恭介くんのお母さんだ。恭介くんまだ家に帰ってないらしい…』
父親に呼ばれ電話に出る。
『はぃ、勇太です。はい。ぼくは、いつもと同じで家の前で恭介くんと七海ちゃんと別れました…まだ恭介、帰ってないんですか?』
少し慌てたおばちゃんの声を今も忘れられない…
父親が半ば強引に受話器をとる。
『奥さん、今から消防団の連中に連絡とって、捜すように言ってみます。いえいえ!こういう時はお互い様ですよ。奥さんはそのまま家に居て、息子さんが帰られるの待ってみて下さい。』
その数時間後…
恭介の靴は、龍ケ岬の崖の上で見つかった。
誰もが崖から落ちた事を確信し…
警察と漁師たちが海に船を出し、恭介を捜した。
しかし、潮の速さに勝てるはずもなく…恭介は今も見つかっていない。
崖から落ちた事を決定ずけたのは、数日後恭介の体操服が漁師の網に引っ掛かって見つかった事…
恭介は今も…
さ迷い続けている…
この海のどこかを。
一人ぼっちで…
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