~第二章~

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『まぁ入れ、今日は誰も居ないから。…麦茶のむか?』 『あっ、はい』 病院にあるような黒椅子のソファセットに座り、先生と向き合う。 『宿題やってるか?まぁ勇太は心配してないがな』 …………。 『先生…運動会が終わった後、恭介来たでしょ?』 『えぇ?なんだいきなり』 『恭介…水筒忘れたから、取りに来たでしょ?』 『水筒?水筒忘れていたのか恭介は?』 『うん…』 『知らなかったよ…先生。いま勇太に聞くまで。先生もずっと教室に居たわけじゃないからなぁ』 嘘だ! 七海ちゃんは刑事に話したって言ってた。 それなら先生に、その事を確認しに来ているはず… なのにどうして…? どうして…先生はこんな嘘をつくんだろう? 何か隠してる…? まさか先生が恭介を…!? でも何故? 恭介に何か見つかったから? それを隠す為に…? 背筋に冷たいものが走る… いま先生と二人きり… 大声を出したって用務員さんじゃ先生に丸め込まれるに決まってる。 …どうしたら …どうしたらいい? その時! ガラスの割れる音… 窓からの風を受け、カーテンに煽られた花瓶が床に落ち割れた… 慌てて駆け寄る担任の清水。 今しか… 『先生さようなら!』 言葉と同時に立ち上がり、職員室を飛び出した。
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