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靴箱で靴を入れ替え、太陽が容赦なく照り付ける校庭を見ると、陽炎が朝礼台を揺らしている。
その隣には…
体操服姿でランドセルをかついだ少年がこちらを見て笑っている…
『あっ!きょっ…きょうす…。』
『おい勇太~かえろぉ~ぜぇ~』
同じクラスの友人の声に踵を返し、慌てて朝礼台の方向を見直す…
しかし…
もぅ、あの少年の姿はそこにはなかった…
みな同じ背丈、野球帽をかぶり黒く使いこんだランドセルをかつぐ、手には大量の荷物を持った少年達が、陽炎の校庭を歩き家路につく…
ふと校舎の2階…
教室に目をやると、花瓶に入れられた向日葵が見えた…。
『ゆうたぁ~!何しよるがぁ~』
先を進む友人達に気づかされ…校門を小走りで出た。
ここは小さな港町…
都会からは掛け離れた、この町で彼らは生きている…
若者達はテレビでみる世界に憧れ、成人式を迎えるとこの町を捨てる…
最近では過疎化の波が、この小さな町の港にも…荒波となり打ち寄せていた…。
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