47人が本棚に入れています
本棚に追加
去年から…海沿いの国道に出る頃には友人と別れ一人になる…
時折吹く海風が、汗で濡れたシャツと、体の間を優しく撫でてくれた。
『ゆうた!今帰りか!』
『恭介…そっ、そうやけど…』
『また蟹…取りいく?』
『とりあえず…荷物下ろして、また来る…』
『じゃあ…まってる……』
国道を過ぎ、脇道に入り三叉路を曲がる…
ゆいいつ気になる駄菓子屋を横目に、坂道を上がれば古い一軒家がある。
ここに父親と二人で暮らしていた
首からぶら下げた鍵が汗で体に張り付く…
砂噛みの横引き戸をひらくと、荷物を玄関に置き小走りで約束の場所に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!