~第一章~

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去年から…海沿いの国道に出る頃には友人と別れ一人になる… 時折吹く海風が、汗で濡れたシャツと、体の間を優しく撫でてくれた。 『ゆうた!今帰りか!』 『恭介…そっ、そうやけど…』 『また蟹…取りいく?』 『とりあえず…荷物下ろして、また来る…』 『じゃあ…まってる……』 国道を過ぎ、脇道に入り三叉路を曲がる… ゆいいつ気になる駄菓子屋を横目に、坂道を上がれば古い一軒家がある。 ここに父親と二人で暮らしていた 首からぶら下げた鍵が汗で体に張り付く… 砂噛みの横引き戸をひらくと、荷物を玄関に置き小走りで約束の場所に向かった。
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