~第一章~

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家に着く頃には、あたりは薄暗くなっていた。 部屋の明かりが点っているのが坂の下から見える。 『ただいま~』 『勇太!お前!学校の荷物を玄関に置いたまま鍵もかけずに遊びに行きやがって!』 父親の声に首をすぼめ、上目遣いで顔を見る… 『まぁ…なんも盗むもんないけどな』 苦笑いの父親を顔を見て少し安心した。 『しかし!学校の荷物を部屋に置かずに遊びに行く事は…』 『ドンッ!』 頭のてっぺんに激痛が走っる… 父親の分厚い手のゲンコツはまさに凶器… 『ゴメンなさい…』 『わかればよかよか!』 短い髪に分厚い手、一年中日焼けした大きな体はまさに海の男そのもの… 荷物を2階の部屋に運び、夕食の支度を二人でこなす。 和室のちゃぶ台に並べ置かれる海の幸は、全て父親が海で捕って来たものばかり。 それを11年食べ大きくしてもらった… 『よ~し食うぞ~!』 しっかり手を合わせ… 『いただきます…』 いつもの行事で、夕食ははじまる。
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