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家に着く頃には、あたりは薄暗くなっていた。
部屋の明かりが点っているのが坂の下から見える。
『ただいま~』
『勇太!お前!学校の荷物を玄関に置いたまま鍵もかけずに遊びに行きやがって!』
父親の声に首をすぼめ、上目遣いで顔を見る…
『まぁ…なんも盗むもんないけどな』
苦笑いの父親を顔を見て少し安心した。
『しかし!学校の荷物を部屋に置かずに遊びに行く事は…』
『ドンッ!』
頭のてっぺんに激痛が走っる…
父親の分厚い手のゲンコツはまさに凶器…
『ゴメンなさい…』
『わかればよかよか!』
短い髪に分厚い手、一年中日焼けした大きな体はまさに海の男そのもの…
荷物を2階の部屋に運び、夕食の支度を二人でこなす。
和室のちゃぶ台に並べ置かれる海の幸は、全て父親が海で捕って来たものばかり。
それを11年食べ大きくしてもらった…
『よ~し食うぞ~!』
しっかり手を合わせ…
『いただきます…』
いつもの行事で、夕食ははじまる。
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