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夕食がはじまり、しばらくたつと父親が聞く…
『勇太…見せるものあるんじゃねぇか?』
座布団の下にこっそり忍ばせた通知表を手渡した…
自然と正座になる…
食い入る様に見つめる父。
『まっ、俺の息子にすりゃ上出来だな。勇太の頭は母ちゃん似だな…きっと』
にっこり笑う父親…
分厚い手で大事そうに通知表持つと、奥の仏壇の前に座り通知表を前に置き蝋燭に火をつける。
『母ちゃんもきっと…喜んどる』
母親は勇太を産んだ後すぐに亡くなった…
写真で見る母親はいつも優しく笑い、笑顔で勇太を見つめていた。
夕食の後、久しぶりに父親と風呂に入った。
下手くそな鼻歌と、大きな体に押し潰されそうになりながら、二人だけの夜はゆっくりと更けていった。
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