一人目

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  「…で、この子どうするおつもりですか」 桃姫はある生徒が提出してきた入学届けを校長の机に置く、しかし校長改め金太郎はそちらよりも彼女の利き手に鷲掴みにされてる物体の方に夢中らしい。 「…桃ちゃんこそ、ワシの大事な大事なういっぐちゃんをどうするつもりじゃ!」 「ういっぐってなんですか、ウィッグですよ、このヅラはくそ金なし太郎野郎の身代わりに切り刻まれることになりました、ご愁傷様、ですっ!」 放り投げて即座に抜刀、散り散りに毛と言う毛が床にと降り注がれてしまった。あああっ!ういっぐちゃんがぁああッ!!と情けのない年寄りの声が響いたが、桃姫は良い気味だと鼻で笑い冷たい声で言い捨てる。 「ういっぐじゃなく、かつらです」 「古いあだ名を掘り返すのは止めるんじゃ!やっとかっこいい名称になったんじゃぞ」 「かつらです」 「ういっぐじゃ!」 「かつらです」 「ウィッグ!」 「ういっ、ぐ……、くたばれ金太郎!!」 今日も何時ものように騒がしい校長室、そのため物を壊すので高価な物は置かれません。加えて金太郎はここで生活もしているらしく、私生活の物が散乱しているために、もうただの金太郎の自室と成り下がっています。ああ可哀想なお部屋さん。  
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