一人目

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  「二人共いい加減にしなよ」 良いところに現れたのは桃太郎、彼の言ういい加減とは喧嘩ではなく、話が進まないことだと思われます。桃姫は入ってきた人物を己の瞳で認めると、渋々と言うようにも刃を収めた。 「大事な話があるんだろ?」 「…、こやつが話を聞かないのだ」 幼い子のように唇を尖らせる、そんな彼女に苦笑をしては宥めさせるようにポケットから桃味のキャンディを取り差し出す。 「そう言わないで、金ちゃんも姫の話を聞いてくれるでしょ?」 「おー聞くよー聞いちゃうぞー」 どこから取り出したのやら、新しいウィッグで寒そうだった頭部がふさふさしている金太郎、その光景を目にするだけ桃姫にはイラつきの対象にできた。それはただたんに彼が嫌いなのか、それともこうとしかじゃれあえない間柄なのかは、さてはてどうやら。 桃姫は差し出された飴を受け取り、落ち着けと自分に言い聞かせるため一つため息をつき切り替えた、彼の居座る机まで足を運び置いてあった書類を白く綺麗な人差し指で指す。 「……、この子どうなさるつもりです?」 「どうって受け入れるよ?」 簡単に返ってきた返答に桃姫は顔を歪める、ですがと言いたそうな顔に金太郎は口角を引き上げ全力な笑顔を作ってもう一度言った。 「受け入れるったら受け入れるよ」 金太郎印の判子は既に押されていた。  
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