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到着
葬儀場に着いて……
会場正面にT兄の名前。
体中の力が抜ける。
会場に入ると職員の人に案内される。
中は広く、他の葬儀も行って居る様だった。
その職員が少し微笑んでいる。
(なに穏やかな顔していやがんだよ)
(今営業スマイルなんかいらねぇから)
(見りゃわかんだろ?死んで諦めの付く歳じゃなえんだよ)
ここでも意味不明な怒りが炸裂。
T兄の両親が目に入った。
アタシを見つけるなり、
伯父さんは
「ぉう!吹雪きぃ!来たのかぁ!」
すっきりした顔してニコニコしてる。
喪主として何とか葬儀まで来てほっとしたのだろうか?
息子の死を既に受け入れられたのか………?
それとも諦めか。
伯母さんが近づいてくる。
目には涙を溜めて抱き合いながら、
「仕事大変だろうにありがとうね……来てくれたんだね………」
一気に涙が溢れて止まらない。
「びっくりして………」
そう言うのがやっとで、彼の両親に言葉を掛けることも出来なかった。
思えば、知らせを聞いてから涙を流したのはこの時が初めてだった。
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