はじめから決められている

訃報

「兄貴から電話来て。肺癌だったんだと……頭にも転移してたって。抗癌剤を…………………」

(は？)
(何？肺癌？)
(ぃやぃや、初耳だし)
(え？誰が？)

「T兄ちゃんが……？」

「そう」
「え？皆知ってたの？」
「誰も知らなかった。何で教えなかったんだ、って…………」
「……」

絶句って……人生んなかで中々経験する機会は少ないもんだ。

「あんた明日は休み？後で通夜の日程連絡来るけど……」

「いや、今日から四日間夜勤で……」

と、言いながらも必死に勤務表を見る、見る、何度も。

わかっている。
ｱﾀｼは今夜から四日間の夜勤だ。

「夜勤なら人数決まってるんだろうし、無理しなくてもいいから。ちゃんと花も香典も上げておくから。」

(ちょっと待って……頭が付いていかない……)

「もしも誰かに代わって貰えるなら又連絡よこしなさい？私、ばぁちゃんの準備とかしなきゃならないから…」

実家の背後で電話が鳴る。

きっと親戚中訳がわからないでただ、お互いに電話し合っているのだろう。