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物思いにふけていると紅魔館の門が見えた。
いつも元気なはずの美鈴に元気は無く少しやつれたような気がする。
「貴女も霊夢が好きだったのね」
「だ、だって……私が門番していて暇な時によく話し相手なってくれたし……差し入れだって沢山……」
と言い終わる彼女の目からは涙が沢山溢れ出した。
つられるかのように萃香の方からもすすり泣く声が聞こえる。
私はいたたまれなくなり、萃香に先に入ってるわと伝えて中に入った。
私の目にも涙が溜まっていてあのままあそこにいると涙が見られてしまいそうで……
「よっぽど幻想郷を愛していたのね霊夢」
ぼそりと呟くと目から涙が溢れ出していた。
もう泣かないと決めていたのに、私が泣いてしまうと幻想郷の皆が不安になってしまうと思ったからである。
「あら、隙間妖怪じゃない。久しぶりね、何をしているの?」
いつの間に近づいてきたのかレミリアが話し掛けてくる。
私は自然に涙を拭うと顔を上げた。
「なんでもないわ、それより久しぶりね。元気にしてた?」
「あら、貴女が心配するなんて明日は雪かしら」
とは言うものの彼女もどことなく寂しそうな顔をしている。
それでも泣いていたのは明らかなのにそこに触れないのは彼女なりの優しさだろうか。
「まぁいいわ、それよりこれから咲夜がお茶をいれてくれるのだけど貴女も良かったらどう?」
「あらありがとう。じゃあお邪魔するわ」
そう言って彼女の後を着いていく。
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