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そして。
祓達のピリピリとした緊張感が頂点に達したまさにその時。
━━━シュッ
風をきる音がして、3体の妖が祓達の前に姿を現した。
妖は、防御のつもりなのだろうか…水をその体に纏っている。
そして、その滴を撒き散らしながら祓達に襲いかかってきた。
成程…水を撒き散らして気配をよめなくしているのか。
水は覚乱の意味もあったのかと考える
そして。
「雷!!!」
長年の経験から、祓は妖の属性が水だと即座に見破り、的確に妖に向かって符を投げつける。
…しかし。
「……!!!なっ…!!!」
妖は祓の投げつけた符をスッと避け、嘲るように川の中へ飛込む。
速い…!!!
祓はグッと唇を噛み締め、煌夜と焔の様子を窺う。
そして、更に強く唇を噛み締めた。
くそっ…!!!
祓はチッと軽く舌打ちをする。
後ろの方で戦っていた煌夜は、その素早い動きで早々と妖を倒したらしい。
妖の血の付いた“祓魔の剣”を、おもむろに自分の服の裾で拭っている。
……やはりだ。
符で対応していたのでは、どうしても妖に符が当たるまでのログが生じてしまう。
少し遠くで戦っている焔も、投げた符をあっさりと避けられていた。
覚なる上は…
祓は覚悟を決めると、川から飛び出て来た妖に向かって勢いよく走り出した。
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