日常

13/13
前へ
/145ページ
次へ
どうやら祓はうまく妖を滅せたらしい。 焔はパッと顔に降りかかってきた灰を払うと、防御の符を無効化し、そのまま妖に向かって走り出す。 その瞬間妖が攻撃をしかけてきて、焔の頬に朱色の線が走った。 が。 焔はそれにも止まらずに、動こうと構えた妖の体に、直接符を張り付け━━ 「雷!!!」 滅した。 だが。 滅した途端、先ほど降りかかってきたのは比べ物にならない量の灰が、焔に爆風で勢いをつけて襲いかかる。 「━━っ!!!」 焔は、気休にしかならないが腕で顔を覆い、衝撃に備えた。 しかし。 来るかと思った衝撃は襲ってこず、代わりに静寂が焔を襲う。 「………え?」 そっと目を開けた焔の目にうつったのは、先ほど焔が妖に使った防御の符。 ……いや。 同じではない。 焔の符よりも、はるかに強い。 焔は一瞬祓を見るが、焔の視線を受けた祓はそっと首を振る。 どうやら、祓ではないらしい。 確かに、よく見るとこれだけ強い符にも関わらず、作り方が雑だ。 祓ならば、間違ってもこんな作り方はしない。 そこまで考えた所で、焔は初めの疑問にぶつかる。 じゃあ一体……誰が?? 誰が、こんな強い符を使って焔を助けたのだ? 焔を助けたことからして、多分敵ではないのだろうが…。 妖のいなくなった橋で、3人は静寂の中、次の妖を退治しなければならないことに気付くまでずっと立ち尽くしていた━━
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

753人が本棚に入れています
本棚に追加