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余りのショックに固まった焔を見もせずに━━実際は見えていないだけなのだが━━祓は煌夜にも焔と同じように問掛ける。
「どうしてこんなことになったんだ?」
先ほどよりも怒りの熱は覚めたのか、幾分穏やかだ。
煌夜もそれを感じたのかホッと息をついて
「よく分からないんだけど、焔君…当主とケンカしてきたみたいだよ?」
微かに眉を潜めながら言う。
「……当主と?」
祓もその答えに頭を冷やされたのか、スッと顔を上げて
「焔、本当か?」
パニックになっている焔に話しかける。
その表情に浮かぶのは、心配と不安だ。
焔もパニックになりながらも祓のその表情を見て、自分が嫌われていないと知るや急に元気になる。
だが。
まだしおらしい表情は崩さないまま
「うん…」
機嫌を窺うように祓を見ながら答える。
祓はその力無い返事に更に不安を煽られたのか
「何でケンカしたんだ…内容は?」
少々顔を強張らせながら、少しの表情の変化も見逃すまいと焔を見る。
焔は真っ直ぐに向けられた祓の視線に気付かれないようにちょっと顔を緩めてから
「…僕も祓兄と一緒に住みたいって言ったんだ。……後、煌夜みたいに祓兄と一緒に妖退治に行きたいって。」
微かに頬を膨らませて祓の顔色を窺う。
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