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「…祓…祓っ!!!」
夜の帳が降りる頃、煌夜の声だけが静かな部屋に響く。
煌夜の目の前には、ぐっすりと眠っている祓。
「弱ったなぁ…」
もうそろそろ妖退治に行く時間だ。
今日はそれにプラスして移動時間もかかるというのに。
「祓っ!!!」
もう一度大声で祓の名を呼ぶが、起きる気配はない。
煌夜はため息をつくと、先に焔君を起こそうかなと思い立ち、祓より少し離れた畳の上で丸まるようにして眠っている焔の方に近付く。
「焔君、起きて…焔君。」
そして、そっと体を揺り動かす。
祓の時と大分違うのは、年の差でだろうか。
それとも、ただ単に焔にこれ以上嫌われたくないからか。
暫くすると、焔は、ゆっくりと身を起こす。
どうやら、祓と違って寝起きは良い方らしい。
まだ寝惚けている目をゴシゴシと擦って
「祓兄…??」
開口一番に祓の姿を探す。
その姿にちょっと落ち込みながらも
「祓ならそこだよ。まだ起きてないけど。」
煌夜はちょっと笑いながら祓の方を指差す。
焔は一瞬煌夜を見て礼なんか言わないぞという表情をして
「祓兄!!!」
祓に向かって駆け出す。
そして、煌夜が焔にしたように揺り動かし始める。
多分無理だろうなぁと思いながら煌夜が見ていると
「…ん…焔…?」
祓が、焔と同じようにまだ寝惚けている目を擦りながら起き上がる。
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