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いきなり遠い場所だったらどうしよう…
そんな不安がこっちまで届いてくるようだ。
だけど、やはり期待する気持ちもあるのだろう。
焔は、大きな目に期待と不安を半分ずつ織り混ぜて祓を見ている。
祓はそんな焔を見てちょっと顔を緩めると
「今日は2丁目にある橋の所だよ。」
2丁目のある方向を指差しながら言う。
すると、焔の顔が目に見えてパッと輝いた。
「やった!!!僕は2丁目の山の所!!!」
焔は、橋から余り離れていない山の名前を嬉しそうに言う。
それを見た祓もフッと笑って
「じゃあ一緒にだな。」
焔の頭をポンと軽くたたく。
焔はたたかれた頭を嬉しそうに触りながら
「じゃあ行こう!!祓兄!!!」
祓の腕を引っ張って家の玄関に行く。
置いて行かれた煌夜もそっと祓達の後ろをついていき、玄関の鍵をきちんとかける。
別にかけなくても泥棒なんて入りはしないし、もし誰かが入るならば、清に言えば鍵など簡単に手に入るのだが……煌夜はいつも鍵をかけていた。
まぁ、気分の問題だ。
誰でも入れる状態にしておくのと、清の許可した者しか入れない状態にしておくのでは安心の仕方が違う。
いくら清でも、危害を加えそうな者を入れはしないだろう。
煌夜はそこまで考えてからフッと息をつくと、もう既に小さくなっている祓達の背中に向けて歩き出した。
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