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「……あくまでも黙秘するか。良かろう、その覚悟報いてやる!」
「待て待て待て!!」
名も知らぬお姉さんがプッツンして、俺の顔目がけて構えていた炎剣突き出す。瞬間、体を反転させて避ける。ビビる俺の顔を熱風が焦がす。
「なっ、我が剣を見切られた!?……致し方あるまい。命までは取らぬつもりであったが――」
「オーケー分かった、冷静になってくれ。ちゃんと話すから、それを俺に向けるな」
なにやら物騒なことを言いだすお姉さんに、両手を挙げて降参アピール。
明らかにだんだん火勢が増していく炎剣をしまうよう、心から懇願する。
「ふんっ。始めからそう言えば良かったのだ」
ありがたいことに俺の願いは届いたようで、鼻を鳴らしながら炎剣を下げるお姉さん。
「あちっ」
ジュウと焼けたのは俺の靴。炎剣の切っ先が見事に当たっていた。
「いや、熱いんだけど」
「……すまない、故意じゃないんだ」
「ええー」
俺は手のひらを向けて、気にするなと無言で表現する事しか出来なかった。
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