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星弥は子供の頃隣の家に引っ越して以来、姉弟のように育った間柄だ。
星弥に年の離れた弟が生まれるまでは、それこそ一人っ子同士ってことで家族ぐるみの付き合いだった。
だから、同じ高校に通うようになった今こうして一緒に学校へ登校する姿はごく自然のようにも思える。
だけど、私にとってこの状況はおおいに不都合なのだった。
「あら、お二人とも朝から仲がよろしいんですのね」
来たよ……私の不都合の原因。
私と星弥の目の前に止まった、黒塗りの明らかに危ないニオイのする高級車。
その後部席の窓が開くと、そこから一見とてもかわいらしい顔が覗く。
ふわふわのパーマに、ちょっと明るめの茶色い髪。パッチリとした目に、きゅっと締まった口元はよく出来た人形のようだ。
彼女は賀茂深散。私と同じクラスで、どこかの金持ちのお嬢様らしい。
彼女の家は、金持ちが故に学校に多額の寄付をしているらしく学校に対する影響力も強い。
うちの学校で彼女に逆らうのは命取り、というやつらしい。
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