一章『高崎千里様』

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針のむしろ状態ですが、頑張って講義を受け、待望の昼休みとなりました。食事をするため、僕は悪友と共に大学内にある食堂へ行きました。 悪友は定食を、僕はうどんを頼み、席に腰を下ろしました。 悪友はまず、僕に辛辣な言葉を吐いてきやがります。 「なあ、何でお前なんだろうな。俺は常々思うんだよ。どうしてお前が高崎さんに選ばれたのか。俺は高崎派だからよ、はっきり言ってお前が憎いんだ。一緒に飯食ってるけど、お前が腹を壊すことを願うくらいにな」 眉間に皺を寄せた仏頂面で、箸で僕を差す悪友こと田島基次。 高崎派、というのも、この大学には大きく分けて二つの派閥があります。ミスキャンパスの高崎千里さんと、準ミスキャンパスの高田薫さんの二つの派閥があるのです。 といっても、この二人が有しているわけではありません。お二方共が反則級に美しいため、勝手にできてしまったのです。その人気は凄まじく、彼女の有無に関わらず、男達は魅了されています。 そんな二人はいわばアイドルで、どちらがより美しいのかと、二つに分かれているわけです。きのこたけのこ問題と似た感じです。 高崎さんを推す人のことを高崎派、高田さんを推す人を高田派と呼ぶのです。 高崎さんが言わずもがな天使なのに対し、高田さんは俗に言う小悪魔系です。髪は茶色に染め、僕にはよくわからないんですが、ゆるふわパーマとかいうのをあてています。 プロポーションは抜群で、色気のある高田さんも、男子生徒の人気は熱いです。しかし、それを上回る程に高崎さん人気は高いです。 かくいう僕はもちろん高崎さん派で、高田さんは苦手なタイプです。 それはそれとして、高崎さん派である田島は、ことあるごとに僕に厳しいことを言ってきます。的を得ているだけに、僕のシャボン玉のハートは傷ついてしまいます。
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