プロローグ『そんなことって……』

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突然ですが、良い事と悪い事が起きました。どちらから聞きたいか、と質問すると、大概の人はまず悪い事を尋ねるでしょう。 ですが、今回は順を追って話したいので、良い事からです。申し訳ありません。 高校卒業してから二年が経ちました。歳を重ねる毎に月日の流れは早く感じられるもので、大学生活はあっという間に過ぎていきました。 本当にあっという間でした。あっという間過ぎて、彼女の一人も出来やしませんでした。 中学の頃は、高校に入れば彼女くらい出来るだろうと考え、高校時代は、さすがに大学生にもなれば余裕だろう、そう考えていました。 しかしそれは幻想でした。蜃気楼でした。僕に見えていたのは幻で、そこにオアシスなどありませんでした。いや、あったのかもしれません。ただ僕がたどり着けなかっただけで。 自分で言うのも何ですが、僕はちっぽけな人間です。容姿も運動能力も並以下で、ファッションセンスもありません。 勉強は少々ましですが、それも大したものではありません。人一倍頑張って、人よりほんの少し出来る程度にしかならないのですから。 それもさることながら、一番の問題は、考え方だと思います。僕の考え方は、うじうじと女々しく、ネガティブ思考なのです。更に、女性には照れと、ぼろを出したくないと言う矮小な防衛心のせいで、ろくに喋れません。 そんな僕に彼女など出来るわけがないのです。自覚はしています。ろくでもない友人にも散々言われていますが、自分が一番理解しています。自分の未熟さを。 それでも治らないのです。性格や考え方というのは、悪い方ならともかく、良い方にはそう簡単に変わらないのです。治そうと思いながらも、今も僕の脳には付いてまわっています。
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