プロローグ『そんなことって……』

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僕みたいなクズで駄目な人間ではおこがましいです。 自惚れていると思われないよう、僕はこう答えました。これで終わりです。嫌がらせも、僕の恋も……。 高崎さんがこんなことをするのには理由があるんでしょう。親が人質とか。とはいえもう無理です。恋心を抱くの辛いです……。僕はその場を去ろうとしました。 しかし高崎さんが言いました。 私じゃ駄目ですか……? 僅かに震える声。普段は初雪の様な白さを誇る顔が紅潮し、目には涙が。 不謹慎ながら、その姿は最強に可愛かったです。僕は瞬間的に土下座をし、大声を張り上げました。 滅相もございません! と。 すると高崎さんは、 良かった……。 と安心した様に言いました。そして気付くと僕達は付き合っていました。 信じられませんでした。三日三晩眠れませんでした。喜びのあまり、僕はとりあえず十キロ走りました。本当に信じられませんでした。筆舌に尽くしがたく、死んでも良いとさえ思いました。 その思いが叶ったのか、それ以来大学の男共が僕を殺そうと謀っていました。バレた瞬間からは地獄でした。 誰が得たのか、僕達の付き合いは広まりました。最初は誰も信じませんでしたが、高崎さん本人の言葉により、全員が震え上がりました。 殺意、嫉妬、羨望、憎悪、殺意、殺意、殺意、殺意……、様々な感情を持つ男共は恐ろしかったです……。擦れ違う度に舌打ちは当たり前、暴言、膝カックン、ラリアット、俺俺詐欺、タックル、金的、スリ、学校と呼べるものではありませんでした……。 友人も何人か減った気がします。 それでも堪えられました。何と言っても高崎さんがいましたから。女神がいましたから。 これが五月に起こった良い出来事です。いよいよですね。悪い出来事の番が来ました。別れた、とか単純な話ではありません。もっと複雑な話です。 悪い出来事、それは今の状況です。今現在リアルタイムに、僕は悪い出来事に直面しています。 眼前には目を輝かせる高崎さん。目を輝かせる理由が別なら、可愛さに失神しそうです。 高崎さんは、首輪と鎖に繋がれた僕を見て、幸せそうでした。 …………これが悪い出来事です。
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