388人が本棚に入れています
本棚に追加
『──ん……アレ……?』
ああ……朝か……
って!!
『どええぇぇぇっっ!?』
雄叫びと共に跳ね起きるオレ。
オレ……昨日……キ……キキキキッ……!!
『ちょっとぉ~、なに朝っぱらから大声出してんのよ~。近所迷惑じゃなぁ~い』
『……?』
……ハイ?
『もぉ~なによぉ~!珍しいモノでも見てるような顔しちゃってぇ~!それより、ヒゲよヒゲ!』
『……え?』
『え?じゃないわよっ!このうすらトンカチ!!カミソリはどこかって聞いてんのっ!!カミソリくらいちゃんと用意しときなさいよねーっ!?』
『……えぇっ?』
ま、待って……状況が読めない……。
オレは昨日、たしかに女の人を家に連れてきた。
そしてちょっとしたハプニングの末、その女の人と初めてぇ~のぉチュウ♪(※ディープキス)をしてしまった。
ん?女の人と……チュー?
でも、今オレの目の前にいるのは……
オとカとマのついた……!!
『バタンッ!』
『ぎゃっ!!ちょっとなに白目むいて昇天してんのよっ!!カミソリ出してから気絶してよっ!!』
──なんてこった……。
オレが連れてきたのは
女の人じゃなくて……男。
まだフツーの男だったらマシだったかもしんない……。
オレが連れてきたのは……
まぎれもないオカマだったんだよ!!
しかも、それを女性の方だとすっかり信じきってDチューで若干喜んでたオレって……オレって……!!
『あ~そうそう、アタシ、ワケあってウチに帰られなくなっちゃったから、しばらくの間、ここで暮らすことにしたから』
『えっ……!?』
──そのワケっていうのが、『ゴキブリが大量発生したから』っていうことだと知ったのは、綾花さんと暮らしてから3日経った夜のことだった。
.
最初のコメントを投稿しよう!