19人が本棚に入れています
本棚に追加
ヒステリックに叫ぶ女性が行き場の無い怒りを拳に込め、
ドン!!
とカウンターのテーブルを叩き続けている。
「ま、まぁまぁ、落ち着いてくださいよ~。もうすぐマスター、戻りますから。ね?」
頼りない口調でなだめているのはこの店のウェイトレスの、美果である。
この店の主であるマスターは買い出しに出ていて不在である。
狭い店内には留守をまかされた美果と女性客の二人きりだ。
「落ち着いてなんかいられないわよ!五回目よ!ご・か・い・め!!」
そう言うと一層強く握られた拳を思い切りテーブルに叩きつけた。
すっかり冷めてしまったミルクティーのカップが
カシャンッ
と危うげに音をたてる。
「ひゃっ」
美果は情けない声を出して身を引いた。
最初のコメントを投稿しよう!