酔った男の問題

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 書斎の中は、多くの人間でひしめいていた。皆一様に青い制服を着込み、カメラのフラッシュがたかれ、部屋のあちこちにタンポにまぶしたアルミニウム粉末をまぶしていく。  多少の落ち着きを取り戻した絹江は現在、リビングで警察からの質問に応えている。そして太一は書斎で警察から事情聴取を受けていた。 「つまり、あなたが帰宅した時にはすでにこの様な状態だったというのですか?」  夏木警部の冷めた声に太一は身を竦ませる。太一自身は気の小さくない方だと以前から豪語していたのだが、警察相手ともなると、しかも自分自身が容疑者で有る状況では、それも無理もなかった。
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