脅迫状の問題

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「そのようだな」  太一はそんな妻の言葉にも動じることなく、つまらなそうに応える。 「そのようだなって」  絹江は夫の態度にそれ以上言葉を続ける事ができなかった。ただ、再び、その文面に目を走らせる。 『お前は生きる価値もない、死して罪を償え』  新聞や雑誌の切り抜きにより構成されたその文字は、文字の大きさも色も異なり、著しく統一性を欠き、それが故に絹江の心へ不安を生み出すに十分な効果を発揮していた。
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