脅迫状の問題

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 太一はそう言うと、いきなり立ち上がり、妻の手からその紙を取り上げると、手に持っていたライターで紙に火を付ける。青い炎を上げるそのライターに絹江は見覚えがあった。それは三年前、太一の誕生日プレゼントとして彼女が夫に贈ったジッポーのオイルライターだった。  しかし、それを彼女が見たのはかなり久しぶりだった。何故なら、太一は一年前に肺を悪くしたため、それ以降すっぱりと喫煙を止めており、それは二人の記念品として引き出しの奥にしまい込まれていたからだ。
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