思い出

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*******   『忘れ物ないか?』     『はい、今日は本当にありがとうございました』     車で送ってもらい、自宅より少し離れた場所で下ろしてもらった。   そう。私は実家暮らし。   家族に見られては後々面倒だろうと吉田さんの計らい。     『あと、携帯貸せ。連絡先赤外線で送るから』   私は言われるままに携帯を取出し吉田さんに渡した。    テキパキと赤外線でデータを移す吉田さんを見て、私でも赤外線なんて使えないよ…と、ただ感心していた。      『よし、送信完了。じゃぁなんかあったら連絡してこいよ?………あ…淋しい時でも連絡して良いからな』      普通の女の子なら勘違いするかもしれない。   私もこんな状況じゃなかったら間違いなく勘違いしていただろう。     私だけにこの優しさを注いでくれているのだという勘違い。     『じゃぁ、また明日』   『はい。ありがとうございました』     私が入社して、困っているときはいつも助けてくれた吉田さんは本当に優しい人。
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