壁打ち

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スペースを凝視する。何も見えない。それでも相変わらずそこで音がする。 瞬間、姿が見えた。 いや見えた気がしただけかもしれない。何も見えない。音が脳を刺激し見えない者の像を結んでしまったのだろう。想像力が一瞬の像を一郎に見せたのだ。 また、瞬間、姿が、見えた。 2度目なので先程よりも印象に残る。一郎が通っている高校と同じ臙脂色のジャージを着ている女子のように思えた。
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