壁打ち

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一郎はそこで気づく。瞬きをする瞬間コンマ数秒その見えないプレイヤーが像を結ぶことに。 一郎は瞬きを繰り返してみた。フラッシュライトを浴びるようにして少女の動きが見える。 おかっぱ頭の髪の毛が降り乱れる。決して力強くはないが、すべるように体を動かしスイングしている。電灯に当たる彼女の肌の色は土色をしている。強風をものともせず、一心腐乱に壁打ちをしている。 その姿を見て一郎の思考回路と運動回路は分断されてしまった。 ただ絶え間なく瞬きを繰り返した。
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