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ダリルは、感で火球を再度放つ。
"ド、ドド、ドドドッドォォッ"
【グギァァァァッ】
爆音と叫び声。
だが、プレッシャーは、なくならない。
前方は、爆撃で吹き飛ばされている。
砂煙が収まり、視界が開けた。
そこには…
ヴォルトルスがいた。
ヴォルトルス。
それは、巨狼。
(どれほどの大きさか?)と、問われれば、ワンボックスカーほどであろう。
ただ、ベースは狼でも、明らかに違う。
尻尾は3本。
長く硬い。
鋼糸を編み込んだ鞭のような尾である。
両肩からも、鞭のような触手が伸びる。
こちらは、さほど硬くはなさそうだ。
その代わり、皮の鞭のようにしなっている。
それを手の代わりとし、物を持てるようだ。
折れた木を、棍棒代わりに持っている。
先ほどの攻撃が当たったのか、片方は失われていた。
途中から、千切れている。
前足と胸も傷付いていた。
風炎石の爆炎による成果であろう。
だが、その動きは、まだまだ軽やかだ。
たいしたダメージでは、無いのであろう。
ダリルは、晶石を袋へ仕舞った。
ロゼッタとファマルは気にもしない。
ヴォルトルスを注視して、目を離さない。
カリンも弓を手に、緊張しながら隙を伺っている。
「なんで、晶石を?」
「ヤツが素早く、当らん。
それより、油断するな。
死ぬぞ」
ダリルは、ヴォルトルスから目を離さない。
短く告げた。
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