両親の過去

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「2人は本当にあいつらの子どもだな。逞しいししっかりしてる」 あの葬式からどうしていたのか聞かれたあたしたちが、大まかなことをかいつまんで話すと、呆れたと言わんばかりに彼がため息をつく。 「んで、美奈ちゃんは専門学校まで卒業して、美羽ちゃんは高認試験(大検)を受ける予定だと?」 その問いにこくこくと頷くあたしたち。 稔さんは、もはや呆れを通り越して笑ってる。 「すごい!完敗だ。優哉と奈緒にも見せてやりたいぜ」 あの頃のあたしたちは必死すぎて、そんなこと考えたこともなくて。 稔さんが誉めるものだから調子にのって、なんだか今までの自分たちが誇らしくなった。 本当に生きていて良かったと思う。 こんな、自分たちのことを手放しで誉めてくれる人に出会えて。  
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