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それから稔さんは、お父さんとお母さんの恥ずかしい過去や、どんな学生時代を過ごしたかなど、あたしたちが知らない両親の話を楽しそうに話してくれた。
お母さんの時間もお父さんの時間も、もうとっくの昔に止まってしまっているけれど、稔さんの中ではまだ活き活きと生き続けていた。
それがなんだかすごく嬉しくて。
「ありがとうございます」
「ありがとうございます、稔さん」
気づけば、あたしも美奈も2人してお礼を言っていた。
ん?何のこと?だなんて、稔さんはとぼけていたけれど。
きっとあたしたちの気持ちなんてお見通しなんだろうな。
妙にくすぐったい気持ちを抱えながら、あたしは残りのコーヒーを一気飲みした。
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