PIERROT

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月が綺麗な夜だった。 星がチラチラ見え隠れする真っ暗な空に満月がくっきりと浮かんでいる。 通い慣れた塾からの帰り道。 気づけば、もう22時を回っていた。 「はあ…」 思わず溜め息がこぼれる。 『高校受験のために』 そう言われて行かされた塾は私にとって牢獄でしかなかった。 毎日毎日何も考えず、机に向かって問題を解く私は自分の意志ではなく、他人によって動かされていた。 やっと塾が終わっても、家で私を待っているのはお母さんの怒った顔。 「このテストの点は何!」 「ちゃんと勉強しているの!」 お母さんは何かと理由をつけて怒り、私を再び机に座らせるのだった。 私は あなたの人形じゃないのに。 そうは思っても、逆らうことなど臆病な私には出来なかった。
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