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「ピエロ…?」
「そう。ピエロ」
彼は私の乗っているブランコを押しながら答えた。
「もしかしてサーカスの人ですか?」
「違うよ。けどやってることはだいたい一緒かな」
耳障りな音を立てて、ブランコが揺れる。
「一緒ってどういうことですか?」
「一緒は一緒。人を笑顔にするのが僕の役目なんだよ」
「人を…笑顔?」
「そう。だから君に会いに来たんだ」
そう言うと彼はブランコの鎖を引っ張って停止させた。
そして私の前に回り込んで、しゃがんで目線を合わせる。
月の光が私たちを照らす。
照らされて輝きを増した彼のアメジスト色の瞳が私を映した。
「だから教えて?君の悩みや不安、全てを」
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