29人が本棚に入れています
本棚に追加
優しかったお母さんは急に厳しくなった。
「良い学校に入るのよ」
「もっと頑張りなさい」
お母さんは私の顔を見る度、こんなことを言った。
私が少しでも自分の思い通りに動かないと、叫んで私を責めた。
「どうしてよ!あなたが良い学校に行けば、周りの人たち全員見返してやれるのよ!?」と。
私が絵を書くと捨てるようにもなった。
お母さんが褒めてくれるのが嬉しくて書いていた絵なのに、今では絵のせいで嫌な顔をさせてしまっている。
その事実が悲しかった。
進路も勝手に決められた。
私は普通科の高校には行きたくなかったのに。
でもお母さんが絵を嫌っていたから「美術の専門学校に行きたい」だなんて言えなかった。
私はいつもいつも心を殺して生きていた。
お母さんの望むがままに動いていた私は“人形”だった。
最初のコメントを投稿しよう!