PIERROT

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優しかったお母さんは急に厳しくなった。 「良い学校に入るのよ」 「もっと頑張りなさい」 お母さんは私の顔を見る度、こんなことを言った。 私が少しでも自分の思い通りに動かないと、叫んで私を責めた。 「どうしてよ!あなたが良い学校に行けば、周りの人たち全員見返してやれるのよ!?」と。 私が絵を書くと捨てるようにもなった。 お母さんが褒めてくれるのが嬉しくて書いていた絵なのに、今では絵のせいで嫌な顔をさせてしまっている。 その事実が悲しかった。 進路も勝手に決められた。 私は普通科の高校には行きたくなかったのに。 でもお母さんが絵を嫌っていたから「美術の専門学校に行きたい」だなんて言えなかった。 私はいつもいつも心を殺して生きていた。 お母さんの望むがままに動いていた私は“人形”だった。
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