始業式

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……二人とも、泣いていた。 よくよく見渡すと雑談している者など誰一人としていなかった。 俺は健太に近づき、小声で話しかけた。 「な、なあ、これって一体どういうことなんだ?全校集会で何かあったのか?」 健太は泣くことに夢中なのか、俺の方なんて見向きもしなかった。 教室の扉が静かに開く音が聞こえる。 どうやら、担任が入ってきたようだ。 机から離れていて注意されるのも面倒だから、仕方なく自分の席に座る。後で問いただせばいいか、などと考え ながら。 担任が何か言っている。 だが、俺の耳には届かない。 決して耳が悪いわけではなく、故意に聞いていないのだ。 例えるのなら、電車内。爆音で何か聞いてる人の耳から微かに漏れる音のような感じだろうか。 ……今日は話が長いな。 でも、聞き流す。明日は土曜日か。バイト、シフト入ってたかな……などと考えて。 担任が教室から出る音が聞こえた。 どうやら、長い長い話は終わったようだ。
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