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由衣と別れ、会場の人の案内で、今教会の扉の前に父と共に立っている。 意識していないのに、勝手に彼との思いでが蘇ってくる。 初めて出会ったのはまだ私が幼い時。泣いている彼に声をかけた。 2回目に再会した時は、私が彼に激突してしまった。 そしてその出会いを繋いでくれたのはいちごミルクの飴。 私は今まで、いちごミルクのように彼からたくさんの幸せをもらった。 そして、これからも彼は私に幸せを与え続けてくれるはずだ。 少しでもそれが返せたらと思って、考えてみる。 そうだ。 これからする誓いのキスの前に彼にまだ一度も伝えた事のない言葉で気持ちを伝えてみようか。 でも、その前に、勝手に物語を進めたことに文句を言わないと。 「では、扉を開きますね」 案内役の人が私と父にそう告げると、目の前が光り輝き、一瞬目がくらむ。 お辞儀をし、だんだんと目が慣れてきて、その先に見えたのは、私たちを支えてくれた人たちの笑顔。 そして、さらにその先には愛しい彼が私を待っている。 私は一歩一歩、ゆっくりと彼へと近づく。
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