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断末魔の叫びが僕の耳に響く。
その声を聞きながら、ただ笑うことしかできなかった。
どれくらい時間が経っただろう。
僕はその場に座り込んでいた。
隣には健児の遺体。
顔は青ざめ生気はない。
穴という穴から色んな『モノ』が出ていた。
生前、どんなに身なりを綺麗にしようとも、死んでしまえばその行為は無駄になる。
健児の身体は死後硬直が始まっていたから、きっと一時間くらいたったのだろう。鉄の臭いが鼻を刺激する。
親友をこの手で殺してしまったことに、罪悪感は不思議と湧いてこなかった。
親友の死も、殺してしまったという事実も素直に受け止められた。
それはきっと母の死で慣れてしまったのだろう。
赤い水に沈む母と健児が羨ましいと思った。
綺麗だと……。
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