罪と咎の果てに

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「お母さん?ねぇ、お母さん?」 必死に僕は喉元を押さえた。止血の仕方なんて滅茶苦茶だったが、それでも必死に続けた。   傷口から噴き出す血が顔面を濡らす。 壁や床に飛び散る血。 しぶきが僕の気管を刺激し、嗚咽を漏らす。 そのまま、僕の目の前は黒く染まったのだ。     次に光を目にしたのは病院のベッドの上だった。 あとから聞いた話だが、僕の声を聞いた隣の部屋の住人が警察に通報したらしい。 ボロいアパートだったため、声が隣に漏れ聞こえていたようだ。   そして、病院に運ばれたのだ。念のために入院をさせられた。   僕は小学五年生にして孤児になった。
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