罪と咎の果てに

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でも、健児は死んだ。   正確に言えば、僕が殺した。 動機なんて何もない。   だって健児が「殺してくれ」と言ったのだから。     最初はそんな話に応じようとは思わなかった。 なぜ、自分の手で親友を殺めなければいけないのか。 そう尋ねると健児は言った。   「だって、生きていても何もないんだ。ここで俺が生きている意味なんて…」   そうにっこりと微笑まれて僕は言葉を失った。   生きるための意味なんて考えたこともなかった。   そもそも、生きることに意味なんてあったのだろうか?     そう疑問に思ってしまったからかわからないが、僕は健児のの言うとおりに健児を殺した。 
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