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薄く開いた瞼の隙間に、白い陽光が突き刺さる。
けたたましく鳴り響く目覚まし時計を切り、布団を抜ける。
じっとりとした、梅雨特有の空気を感じる。
カーテンを開くと、今日もまた雨が降っていた。
梅雨は嫌いだ。
洗面台に向かい、鏡を覗くと、白い顔をした自分が映る。
肩の上で切り揃えられた髪は湿気で広がって、どんなに手で撫で付けても直りそうにない。
やっぱり、梅雨は嫌いだ。
冷たい水で重い瞼をこじ開けて、深呼吸をしてみる。
甘い朝食の香りがして、今朝はフレンチトーストだと知る。
タオルで顔を拭く間、鏡の自分と見つめ合う。
母親譲りの綺麗な顔。
目は少し釣り目がちだが、あまりきつい印象はない。
鼻はもう少し高くてもいいけど、気にするほどでもない。
よく出来た整った顔だと思う。
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