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周りから綺麗な子だと言われて育ってきた。 だから私も自分が綺麗な容姿をしていることを知っている。 でも、そのことを鼻に掛ければ憎まれることも知っている。 これまで16年間、慎重に、できるだけ敵を作らないように意識して生きてきた。 周りの目が怖かった。 それでも私の人生は順調に進んだ。 裕福で温かい家庭に育ち、整った容姿にも、陸上の能力にも恵まれた。 挫折のない、鮮やかな人生だった。 でも、今年の4月、私は初めて挫折を味わった。 【陸上部エース、骨折】学内新聞にも大きく取り上げられたあの事件。 私は陸上部の先輩と自転車で事故を起こした。 当時付き合っていた津久田と一緒に帰途についたあの日は、雨だった。 先輩の言い分は「雨でよく見えなかった」。 私は先輩が私のせいで、何度も大会の出場を逃していたこと、津久田を好きだったことを知っている。 先輩は私を憎んでいた。
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