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ボンヤリしかけたその時。
バタン!ドタドタ!
慌ただしい音とともに、1人の女性が階段を上り部屋に入ってきた。
「うう~…っ正ちゃん!…気持ち悪い…水ちょうだい!水…」
女性は見たところ40代前後、いかにも水商売な洋服に派手な今どきあまり見かけない毛皮のコートに身を包んでいた。
「おいおい!みっちゃん、頼むよ!ここ俺んちなんだから勝手に入んないでよ~!いつも言ってるじゃん」
料理の手を止めて、困ったように声をかける正一を横目に、女はよろよろとソファーに座り込み、そしてベットにいる和也に気がついた。
不思議そうに首をかしげ、女は和也にフッと近づく。女からはアルコールの臭いがプンとして、和也は少し目を細めた。
「幸太郎…?…んなわけないか…。じゃ、天使?」
「はいはい!みっちゃん、いつもの事だけど、飲みすぎだよ。」
キッチンから水の入ったコップを持って正一が出てきた。
「正ちゃん、アタシ、天使が見えるよ。幸太郎が迎えをよこしてくれたのかなあ。アタシ、天国行きたい!」
嬉しそうに言う女に水を渡して、正一は軽くため息をついた。
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