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4月20日
しんどい練習が毎日のように続く。
流石は強豪校。
そんな中で今日は俺の誕生日だ。
今日ばかりは早く家に帰りたい。
そんなことを思いながら持久走を走っていたら
「森笠、お前なめてるだろ」
と、後ろからかん高い声が聞こえてきた。
コイツは中里勇太。
この学校の野球部のコーチだ。
ニキビ面でグラサンを後ろにかけていて関西人なのに標準語の気持ち悪い奴だ。
俺は溜め息をつくのを必死に押し殺して
「いいえ、なめていません」
と、答えた。
何故か入学以降、中里にやたら目をつけられている。
理由はわからない。
「お前気が抜けてるなぁ。やる気ないんだったら辞めてまえ」
「はぁ…、スイマセン…」
「お前溜め息ついただろ?舐めとう?」
やってしまった…。
こんな奴に怒られるなんて最悪な誕生日だ。
「本当にスイマセンでした」
「お前、次やったら覚えとけよ?」
「はい…」
俺は中里の説教に適当に返事をしてもう一度走り出した。
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