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次の日
「やっぱ昨日のはヤバかったかな…」
俺は昨日中里を殴ってしまったことを後悔している。
ムカついたとはいえやり過ぎた。
嫌だけど中里に謝って退部を取り消してもらおう。
俺がため息をつきながらうつむき加減で歩いていると目の前に中里が腕組みをして立っていた。
相変わらずふてぶてしい。
…ってかなんで教師でもないコイツがここにいるんだろう?
「おーい、森笠ぁ」
…やっぱうぜぇ。
「…おはようございます」
中里が何故かニヤニヤしている。
気持ち悪い通り越して吐き気がする。
まぁいつものことか。
「野球嫌いなお前の為に俺が退部届け書いといて出したったぞ」
ニヤニヤしている理由はこれか。
どこまでも女々しい奴だ。
「いや…、その事で話しようと思ってたんですけど…」
「お前は野球部にいらん人間だ。監督もお前のことなんかいらんって言ってたぞ」
「野球部に戻りたいんですけど…」
「無理だ。俺が戻るの許さんから」
「そうですか。わかりましたよっ…と」
なんかあっさりひいてしまった。
野球部には戻れないのか。
「俺の高校野球……。短かったな…」
俺はそう呟きながら自分の教室に向けて歩いていった。
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