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まだ日が昇りきらない頃、自室のベットで目を覚ました一人の女性。
ゆっくりと上体を起こし、薄明るい光が差し込んでくる窓越しに外を見る。
「今日で一カ月。やっとアイツを負かせる日が来たぜ!!」
その女性はベットから降りると身支度を整え始める。
動きやすそうな服装と紫色の髪は彼女が男であると誰しもに思いこませる。
女性はベットの脇に立てかけていた愛刀『マサムネ』を腰に吊すと部屋を出た。 彼女の名はファリス。海賊の女頭にしてここ、タイクーン王国の王女。
だが、彼女は王女としての自覚は全く持っておらず、ときおり兵士達にまじって戦線に出ることもある。
その行動に妹王女のレナや大臣達は頭を抱えている。
ファリスに王女としての自覚を持たせるのは無理だった。
なんと言っても『彼』との約束があるのだから。
部屋を出たファリスが向かった先はタイクーンで最も高い塔だった。
ファリスは塔の足場の真ん中に立って日が昇るのを楽しみに見ていた。
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