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「隼人(はやと)やめなよ。その子、怖がってるじゃん。それにしても今時、黒髪って貴重。やっぱ日本人は黒髪だよねー」
三人の中で一番チャラチャラしてそうな、この人。明るい茶髪に人工的に焼けた肌、アクセサリーを首や腕にジャラジャラ付けて、私の髪を指先で弄びながら胡散臭い笑顔を浮かべてる。
「触らないで。そもそも私、あんた達みたいな人間がキライ。そうやってエラそうにしてれば何でも通ると思ってるその態度も」
「っんだと、テメエ!?ケンカ売ってんのかよ!オラ来い!」
「……っ」
トサカ頭の赤髪男が、腕を大きく振り上げて、ついに殴られるんだと感じ、目を瞑ろうとした瞬間、
「おい隼人、やめとけ」
低くて心地いい、でも威圧感も混ざった声が、桜の花びらと一緒に私へ届いたんだ。
「……んだよ、ヒロ。邪魔するなよ」
「問題起こすな。めんどくせぇから」
「けど、コイツ……」
「言わせたい奴には言わせとけ。そんなんで一々目くじらたてたら、きりねぇだろ」
瞳を開ければ、長身で威圧感たっぷりの男が、木に寄り掛かって煙草を加え、桜を見上げている。その光景があまりにも美しくて、怒りを忘れてしまうほど。まるで一枚の絵みたいだ。
綺麗な黄金色の髪の毛が、太陽の光に照らされて、一段と輝いた。
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